ブラックペガール

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第1030号 昭和61年7月11日

2 登録品種の名称
ブラックペガール

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「成功」(「紅マスカット」×ヤマブドウ、大井上康氏育成)と「S-9110」の交雑実生であり、試作地(山梨県山梨市)で9月下旬に成熟する中房中粒、短楕円形1、紫黒色の赤ワイン原料用品種である。

葉身は心臓形3片葉、葉柄裂刻は開き、上裂刻は浅く、深く重なり、葉柄は淡紅色である。花房の形は有岐型、果房は長円錐形、大きさは中、粒着の粗密は中である。果粒の大きさは中(約3~4g)、粒形は短楕円、果皮の色は紫黒、果粉は多く、果皮は厚く、果皮と果肉の分離性はやや難である。果肉は黄緑色で塊状、果汁の多少は中、甘味は高、酸味は極多で特殊香を有し、種子の数は中である。成熟期は遅く、花振い性は少、裂果性は無、果梗の強さは強、果梗と果粒の分離は中である。

「マスカットベリーA」と比較して、果房が小さく長円錐形であること、果粒が小さく短楕円形で、果汁の酸が多く、特殊な香気を有すること等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年
5 育成権の消滅 2000年7月12日
6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、出願者が自園の「成功」(出願者によれば、「紅マスカット」×ヤマブドウ、大井上康氏育成)に「S-9110」を昭和34年に交配し、得られた交雑実生の中から選抜し、48年に試験醸造を行い赤ワイン用原料としての適性判定を行う等、品種特性の調査を行ってきたものである。

◆苗木についてのコメント

ホワイトペガールと兄弟だが、最初に国立シードレスとともに農水省の品種登録に合格した。赤ワインとしては特に色が紫を帯びてきれいで、無添加のものは、国会の議員会館で、日本有機農業研究会の席上国宝ものだと称されたほどである。秋田では反当200kg以上の成績を毎年あげている人もいる。有機農業で許容されているボルドー液の撒布で良い。高級赤ワインの基本になる品種としておすすめしたい。完熟にしたものは、生食も可。ジュースにしても良質のものができる。

 

国立ヒムロツド1号(国立シードレス)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第1031号 昭和61年7月11日

2 登録品種の名称
国立ヒムロッド1号

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、出願者の育成系続((「ゴールデンマスカット」×「ミルズ」)1号)と「ヒムロッド」の交雑実生であり、果粒が4g位、円形、黄緑色で無核の極早生種である。

葉身は5角形全辺葉、葉柄裂刻は重なり、葉脈問毛じ及び葉柄毛じは中、葉柄の主脈に対する長さは短である。花房の形は有岐型、果房は円錐形、粒着は粗である。果粒の大きさは中、(約3.5~4.5g)、粒形は円、果皮の色は黄緑、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離は容易である。

果肉は黄緑色で塊状、果汁は多く、甘味・酸味は中、香気は特殊である。種子は無い。成熟期は試作地、(山梨県山梨市)において8月上中旬で極早生、裂果性は無、果梗の強さは弱、果梗と果粒の分離は易である。

「ヒムロッド」と比較して、葉身が全辺葉であること、果粒が大きく、円形であること等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成権の消滅 2000年7月12日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、出願者が育成した系統((「ゴールデンマスカット」×「ミルズ」)1号)に「ヒムロッド」を昭和40年に交配し、その種子32粒を播種し、うち18本の実生が生育し、その中から無核、大粒、耐病性等を目標に選抜し、50年頃から山梨県下において試作を行ない特性の調査をしてきたものである。

◆苗木についてのコメント

白黄色 大房 裂果なし。 

亡くなった秋田の大沢先生が、この品種が一番好きだといわれた。極早生で種は無く、 大粒で、特に肉質はなんともいえず良い。大房になるので少し調整は必要だが、摘粒の 必要がない。土地は少し肥えている所が良い。耐病は大で、土作りさえしっかりしてい れば、有機、無農薬栽培も可能である。軽井沢の有名な高級ジャム屋さんは、国立シー ドレスを使用している由である。

 

マスカット・トーキョウ(東京マスカット)

日本葡萄愛好会

 1 登録ナンバー及び登録年月日
第1519号 昭和63年1月18日

2 出願品種の名称
マスカット・トーキョウ

3 出願品種の植物体の特性の概要

この品種は、「川崎」×「ゴールデン・クィーン」に「紅マスカット」と「IP28」の混合花粉を交配した交雑実生であり、試作地(山梨県中巨摩郡白根町)において8月下旬~9月上旬に成熟する大房、中粒、卵形、紫赤色のやや早生種である。

樹の大きさ、樹勢とも中、葉身は5角5片葉、葉柄裂刻、上裂刻ともに開き、葉脈間毛じは中、葉柄の毛じは極僅かである。花穂の形は複穂円筒、果房の形は円筒と円錐が混在し、粒着の粗密は中、果粒は卵形、果粒の大きさは中(4~5g)、果皮色は紫赤、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離性はやや難である。果肉は黄緑色、肉質は崩解性と塊状の中間、果汁の多少は中、甘味はやや高(糖度18~20度)、酸味はやや少、香気はマスカット香である。

種子数はやや少、種子の大きさは中である。成熟期はやや早、試作地において8月下旬~9月上旬である。裂果の多少は少、脱粒性は中、果実の日持ちはやや長である。「ネオ・マスカット」と比較して、葉柄裂刻が開くこと、果皮の色が異なること等で「マスカット・ハンブルグ」と比較して、果皮の色が異なること、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。

4 登録品種の有効期限 18年

5 育成権の育成権の消滅日 1991年1月19日

6 出願品種の育成の経過の概要

この品種は、出願者が自園で育成した[川崎]×「ゴールデン・クィーン」を母体として、自園の「紅マスカット」と「IP28」の混合花粉を昭和42年に交配して得た種子を43年播種、育成した実生48本から選抜したもので、48年から山梨県下3ヵ所において試作を行い、特性調査を行った。

◆苗木についてのコメント

中粒、中房ながら美しい色と形と昧で、個性的な品種。観光自園売りに向く。

 

ハニー・ジュース

日本葡萄愛好会

 1 登録番号及び登録年月日
第1520 号 昭和63 年1月18 日

2 登録品種の名称
ハニー・ジュース

3 出願品種の植物体の特性の概要

この品種は、「オリンピア」と「フレドニア」枝変りの交雑実生であり、試作地(神奈川県相模原市)において8月中旬、栽培試験地(山梨県山梨市)において9月上旬に成熟する大粒、円形、紫赤色のやや早生種である。

樹の大きさ、樹勢とも中、葉身は5角、3片葉、葉柄裂刻は深く重なり、上裂刻は僅かに重なり、葉脈間毛じは密生、葉柄の毛じは中である。花穂の形は円筒、果房の形は円筒、果房の大きさはやや大(250 ~ 350g)、粒着の粗密は中である。果粒は円形、果粒の大きさは大(7~9g)、果皮色は紫赤、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は易である。

肉質は塊状、果汁の多少は多、甘味は中(糖度16 ~ 17 度)、酸味は少、香気はフォクシーである。種子数は中、種子の大きさは大である。成熟期はやや早である。裂果は無、果梗の強さはやや強、脱粒性はやや難、果実の日持ちは中である。

「巨峰」と比較して、葉柄裂刻が深く重なること、果粒が小さいこと等で、「ポートランド」と比較して、果粒が大きいこと、果肉が厚いこと等で、「フレドニア」と比較して、葉柄裂刻が深く重なること、成熟期が遅いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 18 年

5 育成権の消滅日 1991 年1月19 日

6 出願品種の育成の経過の概要

この品種は、昭和41 年、出願者が「オリンピア」に「フレドニア」枝変りの花粉を交配して得た実生33 本から選抜したもので、52 年頃から奈良、石川、神奈川の各県下において試作を行い、特性調査を行った。

苗木についてのコメント

栽培者が、ジュースにしてみたところ、実においしいと言われた。生食用、ジュース用として極早生であるから、日本中どこでも作れる品種といって良い。耐病性は大で、無農薬化が出来る。東京都下でも無農薬有機で消費者に喜ばれているとの報告が多い。安心の品種である。やや、肥えた土地がよい。大房は700g にもなるが、300g ~400g 位にすると良い。初心者、自家用、及び都市近郊の自園売りとしては、最適である。

 

澤登ワイングランド

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第1521 号 昭和63 年1月18 日

2 登録品種の名称
澤登ワイングランド

3 出願品種の植物体の特性の概要

この品種は、「モスクワアムレンシス」の実生に「セイベル13053 号」×「中島1 号」の花粉を交配した交雑実生であり、試作地(山形県東田川郡朝日村)において9月下~10 月上旬、試験地(山梨県山梨市)において8月中旬に成熟する中房、中粒、紫黒色の赤ワイン原料用品種である。 樹の大きさ、樹勢とも中、葉身は心臓形、裂片数は全辺及び3片葉が混在し、葉柄裂刻は広く開き、上裂刻は開き、葉脈間及び葉柄の毛じはない。

花穂の形は複穂円筒である。果房の形は円筒と円錐が混在し、果房の大きさは中(150g)、粒着の組密はやや粗である。果粒は円形、果粒の大きさは中(平均4.2g)、果皮色は紫黒、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離性は易である。肉質は中間、果汁の多少は中、甘味は中(糖度15 ~17 度)、酸味は中、香気はない。種子数及び種子の大きさは中である。成熟期は中、裂果は無、果梗の強さは強、脱粒性は難である。

「マスカット・ベリーA」と比較して、葉の裂片数が少ないこと、果粒が小さいこと等で、「メルロ」と比較して、粒着が粗いこと、果皮と果肉の分離が容易なこと等で、「カベルネ・ソービニヨン」と比較して、葉の上裂刻が開くこと、粒着が粗いこと等で、「ピノー・ノワール」と比較して、果房の形が異なること、粒着が粗いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 18 年

5 育成権の消滅日 1991 年1月19 日

6 出願品種の育成の経過の概要

この品種は、出願者が昭和44 年に「モスクワアムレンシス」の実生に「セィベル13053 号」×「中島1 号」の花粉を交配して得た実生から選抜したもので、47 年から山形、石川、山梨各県下において試作を行い、待性調査を行った。

苗木についてのコメント

月山ワインの主力品種。豊作で作りやすい。赤ワイン用。きれいなロゼワインにも適す。

 

紅沢

日本葡萄愛好会

1 登録番号 登録年月日
第1821号  1988年12月13日

2 登録品種の名称
紅沢 よみ:ベニサワ

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「フレドニア」と「間瀬1号」の交雑実生であり、裂果しにくく、果粒が淡紅色で円形、中粒の早生種である。樹のおおきさは小、樹勢は中、枝梢の太吉は中である。葉身の形は五角形、裂片数は全辺、葉柄裂刻は広く開く、上裂刻は開く~閉じる、上裂刻の深さは中位、葉の大きさは小、葉柄の色は淡紅、葉柄毛じは無し又は極僅か、葉柄の主脈に対する長さは中位である。花房の形は複穂円筒、花性は両性、果房の形は円筒、果房の大きさは中、粒着の粗密はやや密である。

果粒の形は円、果粒の大きさは中、果皮の色は淡紅、果皮の厚さは中、果皮と果肉の分離は易である。果肉の色は不着色、肉質は塊状、甘味やや高、酸味は少、香気は特殊、果汁の多少は中である。種子の数は中、種子の大きさは中である。成熟期は栽培試験岫(山梨県山梨市)において8月下旬で早、花振いの多少は少、無核果粒の混入は少、裂果性は無、果梗の強さは中、果梗と果粒の分離は易である。「アーバナ」と比較して、果房の形が円筒であること、果粒の形が円であること等で、「デラウェア」と比較して、果房の大きさが大きいこと、果粒の大きさが大きいこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 18年

5 育成者権の消滅日 1997年12月14日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、昭和35年に出願者が「フレドニア」に「間瀬1号」を交配し、得られた種子67粒を36年に播種、その実生37本の中から選抜し、43年から試作者に試作を依頼、特性の調査・確認をしてきたものである。

苗木についてのコメント

フレドニアと間瀬1号の交雑実生で、幼木期の黒とう病に注意すればよい粒の育てやすい品種である。劣果もせず、房づくりも必要なく、丸い果粒の濃紫紅色で肉質はキャンベルに準じる。香りが強く甘みがあり酸味が少なく、山梨で8月中下旬熟する早生種であり、肥沃地に向き耐寒性が強い。ハニージュース同様、輸送性に難があるため、自園売りに向くようだ。

 

マスカット・ハニー(エース・マスカット)

日本葡萄愛好会

1 登録番号 登録年月日
第2814号 1991年9月7日

2 登録品種の名称
マスカット・ハニー

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「マスカット・ベリーA」と「ケーニギン・デル・ワインガルダン」の交雑実生であり、大房、大粒、黄緑色で試作地(山梨県中巨摩郡白根町)において9月上旬に成熟する中生種である。

樹の大きさ、樹勢及び枝梢の太吉は中、節問横断面の形は円、熟梢表面の形状は細溝あり、着房数は少である。成葉葉身の形は五角形、裂片数は3片、横断面の形は起伏多、葉柄裂刻の一般的な形はやや重なる、成葉上裂刻の形は僅かに重なる、深さは中、成葉の大きさは小、上面の色は緑、葉柄の色は淡紅、長さは中、太言は細である。花穂の大きさは大、穂梗の長さは短、色は緑、花性は両性、花粉の多少は中である。果房の形は有岐円筒、果房の大きさは大、粒着の粗密はやや密、果梗の太吉は中である。

果粒の形は短楕円、大きさは大、果皮の色は黄緑、果粉の多少は少、厚さは中である。果皮と果肉の分離性はやや難、果肉の色は不着色、肉質は中間である。甘味は中(糖度17~18度程度)、酸味は少、渋味は中、香気は無、果汁の多少は中である。成熟期は中、育成地において9月上旬である。花振い及び裂果の多少は少、果梗の強さは中、果梗と果粒の分離及び果実の日持ちは中である。

「オネマスカット」と比較して、樹勢が弱いこと、成葉の大きさが小さいこと、穂梗の長さが短いこと、果房の大きさが小さいこと、果皮と果肉の分離性が難であること等で、「ケーニギン・デル・ワインガルダン」と比較して、果房の大きさが小さいこと、成熟期が遅いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 18年

5 育成権の消滅日 2000年9月8日

6 登録品種の育成の経過の概要

この品種は、昭和33年に出願者のは場(東京都国立市)において、「マスカット・ベリーA」に[ケーニギン・デル・ワインガルダン]を交配して得られた交雑実生から耐湿性・裂果性等の形質により選抜・育成し、47年から出願者の知人のは場(山梨県中巨摩郡白根町)で試作を行い、特性の調査・確認を行ってきたものである。なお、出願時の名称は「マスカット・エース」であった。

 

ホワイト・ペガール

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第 4062 号 平成6年8月 22 日

2 登録品種の名称
ホワイト・ペガール

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「成功」(「山ブドウ」×「紅アレキ」)に「S- 9110」を交配して得ら れた交雑実生から選抜・育成されたもので、果房は中、果粒が黄白色、短楕円形で中粒、 試作地(山梨県塩山市)において9月末~ 10 月初に熟する白ワイン用である。

樹の大きさはやや小、樹勢及び枝梢の太さは中である。成葉葉身の形は5角形、裂片 数は3片、葉柄裂刻の一般的な形は開く、上裂刻の形は閉じる、深さは中くらい、葉の 大きさは中、成葉上面、下面の色及び葉柄の色は緑、葉柄の主脈に対する長さは短である。 花穂の大きさは中、花性は両性、果房の形は有岐円錐、大きさは中(300 ~ 400g 程度)、 粒着の粗密はやや粗である。果粒の形は短楕円、大きさは中(4g 程度)、果皮の色は黄白、 厚さは薄、果皮と果肉の分離性は中である。

果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中 (糖度 15 度程度)、酸味は中、香気は特殊、果汁の多少は中である。種子の有無は有、数、 形及び大きさは中である。開花期は中、成熟期は遅で、試作地において9月末~ 10 月初、 花振いの多少は少、無核果粒の混入はやや少、裂果の多少は中、果梗の強さは強、果梗 と果粒の分離は中である。

「S- 9110」と比較して、果房の形が有岐円錐であること、香気が特殊であること 等で、「シャルドネ」及び「ピノブラン」と比較して、果房の形が有岐円錐であること、 粒着の粗密が粗いこと、果粒が大きいこと、甘味が低いこと、香気が特殊であること等 で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18 年

5 育成権の消滅日 2000 年8月 23 日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は,昭和 34 年に出願者が自園(東京都国立市)において「成功」(「山ぶどう」 ×「紅アレキ」)に「S-9110」を交配し,得られた交雑実生を播種、38 年頃初結 実、45 年頃選抜し、46 年から山形県、茨城県、山梨県の3か所で試作及び試験醸造を 行い、特性の調査・確認を行って育成を完了したものである。

苗木についてのコメント

白ワイン用品種。やや晩成だが、高品質のワインができる。地域によって裂果の心配 がある。豊産性の傾向が強いので収量制限をして高品質を保ちたい。裂果防止のための 被覆は有効。

 

ハニー・アーリー(ピアレス)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第4063号 平成6年8月22日

2 登録品種の名称
ハニー・アーリー

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「ピッテロビアンコ」に「セネカ」を交配して得られた交雑実生から選抜・育成されたもので、果房は小、果粒が黄緑色、倒卵形で中粒、育成地(東京都国立市)において8月中旬に成熟する早生種である。 樹の大きさは小、樹勢は弱、枝梢の太吉は中である。成葉葉身の形は5角形、裂片数は5片、葉柄裂刻の一般的な形及び上裂刻の形は開く、深さは中位、葉の大きさは中、成葉上面の色は緑、下面の色は淡緑、葉柄の色は緑、葉柄の主脈に対する長さは短である。花穂の大きさは中、花性は両性、果房の形は円錐、大きさは小(150~180g程度)、粒着の粗密は粗である。

果粒の形は倒卵、大きさは中(4g程度)、果皮の色は黄緑、厚さ及び果皮と果肉の分離性は中である。果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中(糖度16~18度程度)、酸味は中、香気は無、果汁の多少は中である。種子の有無は有、数、形及び大きさは中である。開花期は中、成熟期は早で、試作地(山梨県山梨市)において8月中旬、裂果の多少は無、果梗の強さは中、果梗と果粒の分離は難である。

「ポートランド」と比較して、粒着の粗密が粗いこと、果粒の形が倒卵であること、香気がないこと等で、「ネオマスカット」と比較して、果房の大きさが小さいこと、果粒の形が倒卵であること、成熟期が早いこと等で、「ロザリオビアンコ」及び「めぐみ」と比較して、果房の大きさが小さいこと、粒着の粗密が粗いこと、果皮と果肉の分離性が易であること、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成権の消滅 2000年8月23日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、昭和37年に出願者が自園(東京都国立市)において「ピッテロビアンコ」に「セネカ」を交配し、得られた交雑実生を播種、41年頃初結実したものから選抜、43年から福島県、山梨県、石川県、奈良県の4か所で試作を行い、特性の調査・確認を行って育成を完了したものである。なお、出願時の名称は「ハニー・ホワイト」であった。

苗木についてのコメント

白色で粒形が円垂形で、ビッテロ型で、高級感のある品種である。ジベで種なしにすると素晴らしい。耐病性も大で、露地でも私のところは、有機、無農薬でやっている。木の拡勢量はやや少ないので、有機質肥料でやや土地は肥やしたい。粒着は適度で房つくりの必要がない。中房である。

 

クニタチ・アセンズ(セピア)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第4064号 平成6年8月22日

2 登録品種の名称
クニタチ・アセンズ

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「アセンズ」に「卜P.150」を交配して得られた実生の中から選抜して得られたもので、果房の大きさは中、果粒は青黒又は紫黒色、円、中粒で、試作地、(秋田県平鹿郡大森町)において9月中旬に成熟する早生種である。 樹の拡がり及び樹勢は中である。熟梢の太吉は中、色は黄褐、綿毛の密度は粗、節間横断面の形は楕円である。

巻きひげの着生は2、花穂の着生数は中である。成葉葉身の形は5角形、裂片数は3片、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形及び上裂刻の形は開く、深さは浅、成葉の大きさは中、上面の色は暗緑、下面の色は緑褐、下面の葉脈問の綿毛の密度はかなり密、主脈上の綿毛の密度は中、葉柄の綿毛の密度は粗、中肋に対する葉柄の長さの比は長、太吉は中である。穂梗の長さは長、色は淡紅である。果房の形は有岐円筒、大きさは中、着粒の密度は中である。

果梗の太言は中、色は黄緑である。果粒の形は円、大きさは中、果皮の色は青黒又は紫黒、厚さは中、果粉の多少は多、果皮と果肉の分離性はやや易である。果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は高、酸味及び渋味は少、香気はマスカット及びその他、果汁の多少は多である。種子の数、形及び大きさは中である。発芽期及び開花期は中、成熟期は早で試作地においては9月中旬、果実の着色の難易は散光着色、花振いの多少は極少、無核果粒の混入及び裂果の多少は無~極少、果梗と果粒の分離は難、果実の日持ち性は中である。

「バッファロー」と比較して、穂梗の長さが長いこと、果肉の色が不着色であること、マスカット臭があること等で、「マスカット・ハンブルグ」と比較して、成葉の裂片数が3片であること、果房の形が有岐円筒であること、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成権の消滅 2000年8月23日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、出願者が昭和37年に自園(東京都国立市)において、「アセンズ」に「I.P.150」を交配して得られた実生の中から選抜したもので、以後苗木を育成し秋田県、岩手県で試作を行い、特性の調査・確認を行って育成を完了したものである。

苗木についてのコメント

白色で粒形が円垂形で、ビッテロ型で、高級感のある品種である。ジベで種なしにすると素晴らしい。耐病性も大で、露地でも私のところは、有機、無農薬でやっている。木の拡勢量はやや少ないので、有機質肥料でやや土地は肥やしたい。粒着は適度で房つくりの必要がない。中房である。

 

シリウス(ブラックオリンピア晩生)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第5793号 平成9年11月14日

2 録品種の名称
シリウス

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「巨峰」に「巨鯨」を交配して選抜されたものであり、果皮の色が青黒又は紫黒、果粒が倒卵形の極大粒で、育成地(東京都国立市)において8月下旬~9月上旬に成熟する品種である。

樹の広がりは大、樹勢はやや強である。熟梢の太吉は太、色は暗褐、節間横断面の形は楕円、幼梢先端の色は薄赤、綿毛の密度は中、巻きひげの着生は2、若葉の下面主脈上の綿毛の密度は中である。花穂の着生数は多、花性は両性、花粉の多少はやや多である。

成葉葉身の形は5角形、裂片数は3片、葉縁鋸歯の形は両側円形、葉柄裂刻の一般的な形は開く、成葉上裂刻の一般的な形は重なる、深さは中、成葉の大きさは中、上面の色は暗緑、下面の色は暗黄緑、葉柄の色は淡紅、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太言は中である。果房の形は有岐円錐、大きさはかなり大、着粒の密度はやや粗、果梗の太吉は太、長さは中、色は黄緑である。

果粒の形は倒卵、大きさは極大、果皮の色は青黒又は紫黒、果粉の多少はやや多、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性はやや易、果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中、酸昧は少、渋味はかなり少、香気はフォクシー、果汁の多少は多、種子の数はやや少、大きさは大である。成熟期は早で育成地において8月下旬~9月上旬、花振いの多少は中、果梗と果粒の分離は中、果実の日持ち性は短である。「巨峰」と比較して、花振いが少ないこと等で、「ピオーネ」と比較して、若葉の下面主脈上の綿毛の密度が密であること、花振いが少ないこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成権の消滅日 2000年11月15日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、出願者が昭和28年に「巨峰」に「巨鯨」を交配し、得られた実生個体の中から選抜し、36年から各地での適応性等の調査を行い、53年に特性を確認して育成を完了したものである。 なお、出願時の名称は[ブラックオリンピア・エース]であった。

 

秀玉(ブラックオリンピア早生)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第5794号 平成9年11月14日

2 登録品種の名称
秀玉(しゅうぎょく)

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「巨峰」に「巨鯨」を交配して選抜されたものであり、果皮の色が青黒又は紫黒、果粒が倒卵形の極大粒で、育成地(東京都国立市)において8月中~下旬に成熟する品種である。

樹の広がり及び樹勢は中である。熟梢の太吉は中、色は暗褐、節間横断面の形は楕円、幼梢先端の色は薄赤、綿毛の密度はやや密、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は多、花性は両性、花粉の多少は中である。成葉葉身の形は5角形、裂片数は3片、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形は開く、成葉上裂刻の一般的な形は重なる、深さは浅、成葉の大きさは中、上面の色は緑、下面の色は黄緑、葉柄の色は淡紅、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太吉は中である。

果房の形は有岐円錐、大きさはかなり大、着粒の密度はやや粗、果梗の太言は中、長さはやや短、色は黄緑である。果粒の形は倒卵、大きさは極大、果皮の色は青黒又は紫黒、果粉の多少はやや多、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は中、果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中、酸味は少、渋味は無~極少、香気はフォクシー、果汁の多少は多、種子の数は中、大きさは大である。成熟期は早で育成地において8月中~下旬、花振いの多少及び無核果粒の混入は多、果梗と果粒の分離は中、果実の日持ち性は短である。

「巨峰」と比較して、成葉上裂刻の一般的な形が重なること等で、「ピオーネ」と比較して、成葉上裂刻の深さが浅いこと等で、「シリウス」と比較して、無核果粒の混入が多いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成日の消滅日 2000年11月15日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、出願者が昭和28年に「巨峰」に「巨鯨」を交配し、得られた実生個体の中から選抜し、40年から各地での適応性等の調査を行い、53年に特性を確認して育成を完了したものである。なお、出願時の名称は「ブラックオリンピア・アーリー」であった。

 

オリンピアエース(オリンピア)

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第6213号 平成10年3月13日

2 登録品種の名称
オリンピアエース

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「巨峰」に「巨鯨」を交配して育成されたものであり、果皮の色が紫赤、果粒が短楕円形の極大粒で、育成地(東京都国立市)において8月中~下旬に成熟する品種である。樹の拡がりはやや大、樹勢はやや強である。熟梢の色は暗褐、節問横断面の形は楕円、幼梢先端の色は薄赤、綿毛の密度はやや粗、巻きひげの着生は2である。

花穂の着生数は中、花性は両性、花粉の多少は中である。成葉葉身の形は5角形、裂片数は5片、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形は広く開く、成葉上裂刻の一般的な形は閉じる、深さは浅、成葉の大きさは中、上面の色は暗緑、下面の色は暗黄緑、葉柄の色は淡紅、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太言は中である。果房の形は有岐円錐、大きさは中、着粒の密度は粗、果梗の太吉は太、色は黄緑である。

果粒の形は短楕円、大きさは極大、果皮の色は紫赤、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は中、果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は高、酸味は少、渋味は無~極少、香気はフォクシー、果汁の多少は多、種子の数は少、大きさは大である。成熟期は早で育成地において8月中~下旬、花振いの多少は多、無核果粒の混入は少、果梗と果粒の分離は易、果実の日持ち性は短である。「レッドクイーン」と比較して、成葉上裂刻の一般的な形が閉じるであること等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期間 18年

5 育成権の消滅日 2004年3月16日

6 登録品種の育成経過の概要

この品種は、昭和28年に出願者が「巨峰」に「巨鯨」を交配して得られた実生個体の中から選抜、36年から各地での適応性等の調査を行い、53年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。

苗木についてのコメント

4倍体の赤色高級品種で代表的な生食用

 

国立レッドモヌッカ(マドンナ)

日本葡萄愛好会

1 登録番号・登録年月日
第13890号 2006年3月9日

2 登録品種の名称
国立レッドモヌッカ

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「デラックスマスカット(デラウェア×ネオマスカット)」に「マドレスフィールドコート」と「オパーレ」の混合花粉を交配し得られた実生に赤色のモヌッカ系実生系統を交配して育成されたもので、果皮の色が紫赤、果粒が長楕円で大粒の試作地(愛知県東海市)では8月中旬に成熟する極早生種である。樹の広がりはかなり大、樹勢は強である。熟梢の太言は中、色は黄褐、節問横断面の形は楕円、表面の形状は細溝あり、幼梢先端の色は黄緑、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は少、花性は両性、花粉の多少は中である。

成葉葉身の形は五角形、裂片数は5片、葉身横断面の形は波打ち、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形は閉じる、成葉上裂刻の一般的な形は開く、成葉の大きさは中、上面の色は黄緑、葉柄の色は淡紅、下面葉脈問、下面主脈上及び葉柄の綿毛の密度は無~極粗、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太吉は細である。穂梗の太言は中、長さは極長、色は淡緑である。果房の形は有岐円錐、大きさはかなり大、長さ、着粒の粗密及び果梗の太言は中、果梗の長さは長、色は黄緑である。

果粒の形は長楕円、大きさは大、果皮の色は紫赤、果粉の多少は中、果皮の厚さは薄、果皮と果肉の分離性は難、果肉の色は不着色、肉質は崩壊性、甘味は中、酸味は極少、渋味は少、香気は無、果汁の多少は少である。種子の数は中、形は長、大きさは中である。発芽期は早、開花期は中、成熟期は極早で試作岫においては8月中旬である。

果実の着色の難易は直光着色、花振いの多少及び無核果粒の混入は中、裂果の多少は多、果梗の強さは弱、果梗と果粒の分離は中である。「マスカット・トーキョウ」と比較して葉柄裂刻の一般的な形が閉じるであること、果粒の形が長楕円であること等で、「リザマート」と比較して葉柄の太言が細いこと、果粒が小さいこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 30年

5 登録品種の育成の経過の概要

この品種は、育成者のは場(東京都国立市)において、「デラックスマスカット(デラウェア×ネオマスカット)」に「マドレスフィールドコート」と「オパーレ」の混合花粉を交配し得られた実生に育成者が昭和49年にアフガニスタンより導入した赤色のモヌッ力系実生系統を交配したもので、平成3年に育成を完了したものである。なお、出願時の名称は[マドンナ]であった。

苗木についてのコメント

極早生 巨大粒 皮まで食べられる最高級品種 深紅色。昭和49年アフガニスタンのヒンズクシイー山中で見つけた最高の巨大粒のブドウの実生27号に私の早生のデラックスマスカットを交配した品種。あまりにも立派なので、山梨の知人に露地で栽培して頂いた所見事に結実。私の園では母木は温室で、父木は露地である。

1つの重点は、生育のあるステージからは、絶対と言って良いくらい、水を断つということが基本ではないかと思う。類似品種の中では、皮もソフトで味も良く肉質もこまやかである。

 

ホワイトオリンピア

日本葡萄愛好会

1 登録番号及び登録年月日
第14913号  2007年3月2日

2 登録品種の名称
ホワイトオリンピア

3 登録品種の植物体の特性の概要

この品種は、「ブラックオリンピア」に「4倍体ヒムロットシードレス」を交配して育成されたもので、果皮の色が黄緑又は黄白、果粒が円で極大粒の試作地(秋田県横手市)では9月中旬に成熟する早生種である。樹の広がりは大、樹勢は強である。熟梢の太言は太、色は褐、節問横断面の形は楕円、表面の形状は細溝あり、幼梢先端の色は黄緑、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は中、花性は両性、花粉の多少は中である。

成葉葉身の形は五角形、裂片数は5片、葉身横断面の形は波打ち、葉縁鋸歯の形は両側円形、葉柄裂刻及び成葉上裂刻の一般的な形は開く、成葉の大きさは大、上面の色は緑、葉柄の色は淡紅、成葉の下面葉脈問の綿毛の密度は無~極粗、下面主脈上の綿毛の密度は中、葉柄の綿毛の密度は無~極粗、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太言はやや太である。

穂梗の太吉は中、長さは長、色は淡紅である。果房の形は円筒、大きさは大、長さはやや長、着粒の粗密は中、果梗の太吉はかなり太、長さはかなり長、色は黄褐である。果粒の形は円、大きさは極大、果皮の色は黄緑又は黄白、果粉の多少は多、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は易、果肉の色は不着色、肉質はやや崩壊性、甘味はやや高、酸味は極少、渋味はかなり少、香気はその他、果汁の多少はかなり多、種子の数は中、形は長、大きさは大である。

発芽期及び開花期は中、成熟期は早で試作地(秋田県横手市)では9月中旬である。果実の着色の難易は散光着色、花振いの多少は中、無核果粒の混入は多、裂果の多少は少、果梗の強さは中、果梗と果粒の分離は易である。「ハニービーナス」及び「巨峰」と比較して、果皮と果肉の分離性が易であること、種子の形が長いこと等で区別性が認められる。

4 品種登録の有効期限 30年

5 登録品種の育成の経過の概要

この品種は、昭和58年に育成者のは場(東京都国立市)において、「ブラックオリンピア」に「4倍体ヒムロットシードレス」を交配し、その実生の中から選抜、以後、増殖を行いながら特性の調査を継続し、平成10年にその特性が安定していることを確認して育成を完了したものである。

苗木についてのコメント

ブラックオリンピアとオリンピアの交配の中からの選抜で、名の通り白であり、極早生である。今のところ、白色で高品質で、しかも耐病性が強く、花流れもなく、適当な粒着で、ほとんど摘拉もしなくても良い。巨峰群の大きな欠点の房作りと摘粒がないので、巨峰作りの半分の労力でも裁培可能である。

中国科学院からも耐病性の大きいのに驚いているという報告がある。現在紅色のオリンピアの種なし種も出来ており、共に木は強い。コンコードの血を入れたことが良かったのではないか。

 

小公子

日本葡萄愛好会

小公子が生まれたのは37~8年前、それを最初に植えたのは私です。出た苗を全部私の園に植えました。現在でもそのときの原木が十数本残っています。今典型的な形で残っているのは河原さんのところに行っている小公子です。房が円筒形、非常にだらっとした房で、実留まりが非常に悪い。現在に至る中間に、前理事長がこれでは量が少なくて生産性が合わないから諦めようやと言われたことがあった。

このブドウの特徴は、糖度が高いこととアントシアニンが非常に多いこと。そのことに惚れて守り続け、その中から選抜した。私か別にしておいた原木を言い当てたのが、今の葛巻町長で、愛好会の副理事長もやって頂いた鈴木重夫さんです。これは房が円錐形になっている。兄とこれは潭登小公子とするかと話しました。誰が選抜しようと、潭登の名前が残ればよいだろうということで「潭登小公子」とした。小公子という名前が付く前に全国のかなりの人に頒布した。

品種としてはよいものだが、あなたの地域でなるかどうか栽培してみて欲しいと。小公子を品種登録しようとしたら、そのことで農水から待ったをくった。ですから敢えてするなら、潭登小公子という小公子の選抜品種としての品種登録ならば新しくできると思います。「小公子」という名前は前理事長が付けたものです。

最初に小公子でワインを作ったのは1987年。それ以来、私のところは勝沼醸造で製品化しています。小公子の一番古いワインは、1987年に作ったものです。 小公子の中にも、花柄の青のものと赤いものがある。どちらがどうなるか私にもなんとも言えない。交配してすぐのものはいろいろと変化が出てくる。その中から選抜したものが、潭登小公子といっている円錐形の房のものです。

私のところには芽状変異のものと、50数本の木の中から選抜したもので、円錐形の量のとれるものがある。現在、加工用のブドウは8反部近くあって、半分近くがワイングランドと小公子です。

小公子の一番の欠点は、こうもりがが入りやすいことで、これだけは気をつけてほしい。私もこうもりがで何十本とやられました。今でも植え替えで苦しんでいる。6月の中旬くらい花が終わる頃まで、実になる頃が一番入りやすい。こうもりがは産卵して幼虫が這っていって地際に入ります。

ですからその幼虫が這わないようにするには乾燥した上があれば裸虫ですから這ってゆけない。根の周りだけはきれいに川砂や山砂でやっていただきたい。こうもりがは夜しか飛ばない。夜行匹で産卵してゆく。幼虫が這ってきて地際に入るようです。穴にふたをしておいても、一日一回は排泄するために外に出てくるので、白い排泄した糞が見えるときには奥まで入っていない。

小公子では凍害は今のところ聞いていない。母親が日本ヤマブドウということと、交雑してある花粉も標高が高いところのヤマブドウで、両親もヤマブドウの系統ですから。今のところ寒さでやられたとは聞いたことはない。今栽培されている私か知っている範囲の北限は秋田の小坂町、東北内陸部の一番北です。

苗木についてのコメント

この品種は最初は小粒、小房で生産性が低いと思われたが、今は豊産で房も大きいものは200g以上300gにもなる。本年の研修会で現地をみるが頼もしい品種である。糖度も28度になった例もあり、ワインも、補糖の必要がないくらいである。病気は、ボルドー1~2回やれば良い。専門筋からの要望が強い。

 

ヒマラヤ

日本葡萄愛好会

苗木についてのコメント

23年前、パキスタンのヒマラヤの海抜5,000 mといわれる地帯で採種した山ブドウの実生である。樹勢強く、小房、小粒であるが、赤色の果汁はものすごく濃厚である。耐病帽ま最高で、22年間1度も葉剤散布もしていない。病気にならない。拡勢量は大きいので、配枝、剪定には、特殊な方法を考えたい。

国立としては、種々研究の結果、昨年頃より超長梢の先端下垂型を創案し、提示もしてきた。労力としては巨峰の10分の1くらいですむのではないか。無農薬、有機裁培で、日本のワインに光を当てたいものである。また特に葉にリスベラトロールが多いことが証明されたので楽しみが多い。

 

国豊1号

日本葡萄愛好会

苗木についてのコメント

国豊3号と兄弟の赤ワインに向く品種。3号に比べ樹勢は強くないが、果汁の色が濃く、褐変も少ないため、今後楽しみな品種。耐病性は3号と同じくらい。

 

国豊2号

日本葡萄愛好会

 

国豊3号

日本葡萄愛好会

苗木についてのコメント

この品種については、各地の町長さん、市長さんから、高冷地、過疎地の観光用にしたいからという申込みが多い。山ブドウ系としては珍しく大粒で大房、特に果粒がしっかりと小果梗についていて、地上に落としても粒も果梗もしっかりしている。

熟期は早く、高冷地でも裁培可能である。豊産で葉剤散布が不要といっても良い。よく伸びるので工夫が必要である。生食、ジュース、ワイン用として最も注目されている。特殊の成分かおるとして保健用に使っている人もある。

 

アイドル

日本葡萄愛好会

デラに代わる品種として開発された。交配は昭和49年で移植して53年に初成り、無核を確認した。粒も房も大きくなり300グラム近いものもある。

樹勢

やや弱い。有機質に富んだ地力のある適湿地で、やや樹勢を強くもっていきたい。病気には強く、デラウェアよりむしろ強いと言っていい。拡勢量はデラよりも少ないようだ。

果実

250~300グラムの房がよく揃う。2房つけると枝の弱いところは心配だが豊産性である。粒着はやや粗の感じだがジベ処理をすると適度となる。房づくりにほとんど労力がいらない。長円筒形に近い房型であるので実に楽である。

果粒はジベをしなくてもデラの3倍くらいなり、開花後15前後100PPmのジベ処理で5~7グラムくらいになる。着色は楽でむしろ濃い赤色となる。 肉質が特によく昧もよい。この肉質は曾祖母のミルズの系統を引いたものと思われる。皮ごと食べられる。無核であり肉質とともに新しいブドウの要素を持っている。糖度は21.4度という記録かおり18度以上にはなる。裂果性はないと考えていたが、過熱になると心配ではある。ストーニング前後からのかん水は控えたい。

ジベのデラウェアと同じ時期に成熟し、本来、タネなしでジベ処理しなくてもデラよりも大粒で安心できる品種としては、このアイドル以外に思いつかない。

適地と栽培上のポイント

日本中どこでも作れると思う。火山灰土で雨の多いところでも大丈夫だろう。路地でも可能だが、できれば雨除けはほしい。そうすれば無農薬は可能だし労力も変わらない。地力のある(多肥ではない)土地を選びたい。排水は大事である。改良マンソン向きではないか。

 

岩木山ヤマブドウ×フレドニア

日本葡萄愛好会

栽培者のコメント(高橋 淳)

ヤマブドウ系で生食・ジュース用。黒皮で大粒・大房。熟期は11月上旬(長野県飯島町)、Brix糖度18~20度。おもしろい品種である。樹勢が弱いこととベト病に注意が必要である。酵母菌、乳酸菌、納豆菌の混合液をベレーゾーン期から10日ごとに収穫するまで葉面散布(混合液を水で100~200倍に希釈)。

作り方

ドライイースト十プレーンヨーグルト十納豆十三温糖に水を加え、発酵させる。化学農薬の散布は厳禁。 11月中旬販売の生食・ジュース用ブドウは昧がよく、他に競合するブドウは少ない。

TOP